危険物取扱者乙種第1〜3類,第5,6類各有資格者の権限
危険物取扱者乙種第1類(以下乙1)有資格者は、第1類に規定されている「酸化性固体」を取り扱うことができます。酸化性固体は、物を酸化させる作用がある固体のことで、
「1.塩素酸塩類 ・ 2.過塩素酸塩類 ・ 3.無機過酸化物 ・ 4.亜塩素酸塩類 ・ 5.臭素酸塩類 ・ 6.硝酸塩類 ・ 7.よう素酸塩類 ・ 8.過マンガン酸塩類 ・ 9.重クロム酸塩類 ・ 10.その他 ・ 11.※その他2」を指します。
危険物取扱者乙種第2類(以下乙2)有資格者は、第2類に規定されている「可燃性固体」を取り扱うことができます。可燃性固体とは燃えやすい固体のことで、
「1.硫化りん ・ 2.赤りん ・ 3.硫黄 ・ 4.鉄粉 ・ 5.金属粉 ・ 6.マグネシウム ・ 7.その他 ・ 8.※その他2 ・ 9.引火性固体」を指します。特に鉄粉・金属粉は大気中に舞った状態で、可燃すると「粉塵爆発」なるものを引き起こすので取り扱いには特に注意が必要です。
危険物取扱者乙種第3類(以下乙3)有資格者は、第3類に規定されている「禁水生物質及び自然発火性物質」を取り扱うことができます。禁水生物質とは、水に触れると加熱して発火・爆発する可能性がある物質、自然発火性物質とは人為的に加熱をしなくても、空気と反応して勝手に発火してしまう物質のことで、
「1.カリウム ・ 2.ナトリウム ・ 3.アルキルアルミニウム ・ 4.アルキルリチウム ・ 5.黄リン ・ 6.アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く)及びアルカリ土類金属 ・ 7.有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く) ・ 8.金属の水素化物 ・ 9.金属のりん化物 ・ 10.カルシウム又はアルミニウムの炭化物 ・ 11.その他 ・ 12.※その他2」を指します。水と触れると発火・爆発する物質が含まれているので、水で消火すること(冷却消火)ができません。要注意です。
危険物取扱者乙種第5類(以下乙5)有資格者は、第5類に規定されている「自己反応性物質」を取り扱うことができます。自己反応性物質とは加熱や衝撃で、激しく燃えたり爆発したりする物質のことで、
「1.有機過酸化物 ・ 2.硝酸エステル類 ・ 3.ニトロ化合物 ・ 4.ニトロソ化合物 ・ 5.アゾ化合物 ・ 6.ジアゾ化合物 ・ 7.ヒドラジンの誘導体 ・ 8.その他 ・ 9.※その他2」を指します。ダイナマイトや爆薬等にもなる物質の集団で、危険物の中でも特に危険度が高いです。
危険物取扱者乙種第6類(以下乙6)有資格者は、第6類に規定されている「酸化性液体」を取り扱うことができます。酸化性液体は、物を酸化させる作用がある液体のことで、
「1.過塩素酸 ・ 2.過酸化水素 ・ 3.硝酸 ・ 4.その他 ・ 5.※その他2」を指します。
※その他2とは正式には、「前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの」と規定されています。
ここでは長文となる為、「その他2」とさせていただきました。ご了承下さい。
試験科目・問題数・試験時間・試験の方法
通常受験の場合(乙4を取得していない場合)
@ 危険物に関する法令(15問)
A 基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問)
B 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(10問)
となっており、マーク式筆記試験(五択)で合計2時間行われます。
一定の時間が経過すると途中退室が認められます。
なお、各科目が合格の場合の「科目合格」はないので要注意です。
免除受験の場合(乙4を取得している場合)
@ 危険物に関する法令(15問) 免除
A 基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問) 免除
B 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(10問)
となり、Bだけを受験し、60%(10問中6問)以上の正解率で合格です。
ですので乙種第4類を取得したら、乙種は完全制覇!と思っても良いと思います。
過去問例題集(乙4取得済、免除試験の場合)
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(乙1)
[問]過マンガン酸カリウムについて、次のうち誤っているものはどれか。
1.濃硫酸と接触すると、爆発する危険性がある。
2.赤紫色又は暗紫色の結晶である。
3.水に溶けて暗紫色を呈する。
4.日光の照射によって分解するので、遮光のため、ガラス容器の場合は着色ビンを使用する。
5.約100℃で分解して、酸素を放出する。
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(乙2)
[問]五硫化りんの貯蔵、取扱いの注意事項として、次のうち誤っているものはどれか。
1.冷所に貯蔵する。
2.加熱や炎との接触を避ける。
3.水分のある場所に貯蔵しない。
4.酸化性物質から隔離する。
5.安定剤として鉛粉を添加する。
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(乙3)
[問]炭化カルシウムとりん化カルシウムに共通する事項として、次のうち正しいものはどれか。
1.加熱すると分解して、水素を発生する。
2.有機化合物である。
3.不燃性の固体である。
4.強い酸化力を有する。
5.融点は、100℃より低い
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(乙5)
[問]ピクリン酸とトリニトロトルエンの性質として、次のうち誤っているものはどれか。
1.常温(20℃)では固体である。
2.水にはほとんど溶けない。
3.分子中に3つのニトロ基を有している。
4.ピクリン酸は金属と塩を作るが、トリニトロトルエンは作らない。
5.発火点は100度未満である。
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(乙6)
[問]過酸化水素について、次のうち正しいものはどれか。
1.水とどんな割合にも溶け合う。
2.消毒に用いられるのは、通常90〜98%の濃度とするものである。
3.常温(20℃)では分解しない。
4.赤褐色の蒸気を発生する。
5.廃棄する場合は、屋外の安全な場所で焼却するのが最も良い。
正解 乙1=5 乙2=5 乙3=3 乙5=5 乙6=1 _
合格基準
試験科目ごとの成績が、それぞれ60%以上で合格です。
科目の免除(※後に説明します)がある場合は、受験した科目について60%以上の正解率なら合格です。
危険物は乙種を受験すべし!最初に4類を取得すべし!
前述したように、初めて危険物取扱者試験を受験される方で、丙種、乙種(第1類から第6類まで)、甲種の
どれを受験しようか迷っている方は迷わず乙種第4類を受験して下さい。
ガソリンスタンド等で働くだけなら丙種でも良いという意見がありますが、
丙種はあくまでも自分が取り扱うことしか認められておらず、
乙種のように自分が立ち会って無資格者に作業をさせる権限は認められていません。
したがってセルフスタンド等では丙種は資格としての効力を持たず、総合的に考えて乙種の受験を推奨しています。
また甲種は一定の実務経験(危険物を取扱う仕事に一定期間携わること又は、大学等で一定以上の化学の単位認定)がないと受験できません。
第1類から順番に受験したい方もいると思いますが、実は最初に乙種第4類を取得していると、
その他の1〜3・5,6類を受験する時に「科目免除」がされるのです。
そして乙種第4類の免許は、それだけで「丙種以上」の効力を発揮しているのです!
免除されるのは「危険物に関する法令15問)」と「基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問)」の計25問!なので、例えば乙種第4類を持っていて、次は乙種第3類を受けるか〜となったら、乙種第3類の「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法(10問)」だけを受験すればよいのです。
(この場合、1科目だけなので試験時間は30分です)
それで片っ端から乙種を受験して、第1類から第6類まで、全てを合格すると更に特典があり、
なんと実務経験がないと受験できなかった「甲種取扱者」と同等の権利を得ることができるのです。
「甲種免許」とはなりませんが、立場上は「甲種取扱者」と一緒です。
管理人の乙4以外 超・解・攻・略・法 (アドバイス編)
ここまでお読みいただきありがとうございます。管理人です。
ここでは主に乙4を取得済みの方を対象に、簡単なアドバイスのあと、おすすめの参考書・問題集を「テキスト編」でご紹介します
私は乙4取得後、乙種第1類,第2類,第3類を高校2年の11月に一発合格で取得し、
第5類,第6類を高校3年6月に一発合格で取得しました。
えっ?なんで一気に3つも2つも合格したのかって?
実は乙4合格者だけに大特典があり、乙4所持者は、各都道府県の主要試験会場に行けば、
1回に最高3科目までの受験が認められるんです!
なので私は、乙1,乙2,乙3を先に受験申請し、受験。無事全て合格したので、乙5,乙6を受験して合格したのです。
1年に開催される試験回数は決まっているので、「早く取得したい!」「多科目試験も大丈夫!」という方はぜひチャレンジしてみて下さい!
合格すれば大きな自信につながり、周囲の評価も高くなるでしょう。
しかし一方で、失敗した場合には「主要試験会場」への交通費が、人によっては痛くなると思います。
管理人の学習期間と勉強内容ですが、基本的に乙4の時と同じくらいです。前日の8時間勉強を除いて。。。
乙4に合格した!という自信からか、正直ほとんど勉強をしませんでした。
とは言っても「テキストの音読」「問題を解く」という2つだけはきっちりやりました!
むしろこの2つだけやれば、ほぼ合格間違いないです。
そして大切なのは初心を忘れないことです。
「乙4合格した!」と思うのは良いですが「乙4合格したから他の類も余裕〜」なんて思わないようにして下さい。
もちろん出題範囲は全て違います。私は乙4以外でしたら、乙1が要注意だと思います。
経験から述べますと、乙1,乙2,乙3を同時に受験した時、当然乙1から順に勉強しました。
すると一緒に受験した周囲の友人らは、試験日近くなり乙3を覚えようと必死になっていました。
その頃私は乙3の暗記を一通り終え、忘れかけていた乙1の復習をしましたが、ほとんど覚えていませんでした。
これに気付き慌てて総復習をしたので、なんとか3つとも落とさずに済みましたが、
友人のほとんどは乙1の復習をする時間がなく、不合格になっていました。
また最悪の例を挙げますと、乙3がなかなか覚えられず、乙1,乙3の両方を落としていた人もいました。
複数受験する場合にはしっかりと計画を立てて、余裕を持って勉強する必要があります。
最後に、資格を取得するポイントは「この試験で絶対に取得してやる」という強い信念です。
合格点さえ到達すれば合格できるので、自分との闘いと言っても過言ではありません。
本当に合格したいならあなたの「何か一つ」を犠牲にする覚悟で勉強して下さい。
受験しようと情報収集を始めたあなたは、すでに合格に一歩近づいています。
この調子で勉強を始めていけば、何も犠牲とは思わないと思います。
覚悟を持って取り組んだ未来は、きっと明るい結果が待っているはずです。